アンズのつぶやき 187 【記憶の断片】

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【記憶の断片】
 
上空から見た、
戦後数年経った東京は品川。
曲がりくねった道路が、
壊れ果てた家が、小さな人家が、
草はらが、防空壕跡が、鳥居が見える。
 
そこになにやら
光のパイプのような中をつたって、
地上の一軒の家を目指して
私は降り立った。
これが、
私が生まれた瞬間。
 
すっかり忘れていた
記憶の断片。
イメージとしての記憶に過ぎないが、
ああ、そうだったと蘇る。
 
そこは、
私が自ら希望した配役を
演じるべく計画された
シナリオ通りの場所。
 
地上では、
やはり私のように、
計画したシナリオを
成就しようと、
それぞれの配役を
引き受けた人々が、
それぞれの場所で、
私を待ち構えていた。
 
一人として
そのシナリオの一部でない人はいない。
すべての人が、
その全体のシナリオに
組み込まれた
演技者なのだ。
 
「部分は全体のために、
全体は部分のために。」
この言葉は、
このシナリオを描いた存在たち
そのものの在りようを表している。
 
その言葉を深く理解する存在たちが、
一人でも多くの人々に
その言葉の言わんとすることをを伝え、
一人でも多くの人が、
自分もそうした存在であろうと
自ら望むことを可能とする舞台、
それが地球。

 

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